記事要約:
不法就労や不法残留を防ぐため、大学や日本語学校などを対象に、留学生の出席日数や学費の納入状況などの報告を義務化し、就学状況を国が直接把握できるようにする。安倍晋三首相主宰の犯罪対策閣僚会議で議論し、関連法案を来年の通常国会にも提出する。
留学生については現在も各学校が入退学の状況を月1回程度、入国管理局などに任意で報告しているが、在学の実態がないなどの事例を正確には把握できないのが実情。悪質な日本語学校が不正確な報告をしているケースもある。
元日本語学校職員として言わせてもらえば、はっきり言って、こんな報告を義務付けたところで全くの無駄。それは、記事にあるような「悪質な日本語学校が不正確な報告をしている」からではなくて、報告をしても入国管理局も警察も何もしないから。
学校に来なくなって、おそらくこのままでは不法滞在になるであろう学生がいた場合、多くの日本語学校では職員が家庭訪問して帰国を促したり、一度行方不明になって退学処分にした学生の居所が分った場合にも、職員が訪問して帰国するよう説得したりしています。しかも、ただ説得するだけでなく、帰国用の航空券を手配して、職員が空港まで送って飛行機に乗せるところまでやっています。僕自身、何度もそういう学生を送って空港へ行きました。
ところが、その学生がそれまでに再入国許可を取っていると、そのまま日本に戻って来てしまうのです。空港へ送り、入管には退学させた旨、報告しているのに。。。
こういう場合に、再入国させないように頼んでも、「一度出した許可は取消せない」のだそうです。こうして、また日本に戻ってきた元学生が学校に顔を見せるはずもなく、そのまま不法滞在になっていくのでした。
また、いわゆる風俗店で働く学生が、店の前でチラシ配りをしているのを発見したりすることもあります。こういう場合、バックにどんな人がいるか分りませんから、一民間人である学校職員が直接注意するのは難しいものがあります。それで、近くの警察に報告しても「外国人のことは入管に言ってくれ」、入管に言っても「調査部門に一応報告しておいてくれ」、入管調査部門に言っても、「一応伺っておきます」。。。結局、動いてはくれません。
というわけで、報告ばかり厳しく求めても、入管が動かないんですから、全くの無駄です。逆に、学校からの報告に基づいて入管なり警察がしっかり対応してくれれば、現状の報告で十分だと思います。